独身寮で二人部屋

BLACK or WHITE

このタイトルをご覧になって、きっとアラフィフ以上くらいの方は何となくピンときて、40代より若い方だと何の話?という具合になるのじゃないかと思います。いかがでしょうか?
私が今の会社に入社した当時、新人は寮に入ることが多かったのです。実際私の他の会社に入社した友人も多くは寮に入っていました。私の入社した当時は、バブルが崩壊して景気はあまり良くなかったのですが、それでも多くの会社が、社宅保養所なんかも持っていて、たくさんの固定資産税を払っていたことかと思います。観光地や避暑地なんかにも、保養所の町みたいなところもありますよね。今では固定資産を手放す会社も増えてきましたので、寮と言っても一般の賃貸マンションの一部を間借りしていたり、一棟借り上げだったりと、その形態も随分変わってきたかと思います。

くーま
くーま

でも、寮って賃料は安かったんですよね?

おるきー
おるきー

はい。それが一番の魅力でした。とにかく安い!

さて、そんな独身寮に私は入ることになった訳ですが、一番びっくりしたのが、「二人部屋」だったことです。確か10畳くらいの広さはあったのですが、部屋の両サイドに備え付けのベッドとクローゼットがひとつずつ、あとは電話もひとつずつありました。この電話というのが、今だと比較的安価な、または古いホテルにあるような、内線と外線が使えるシンプルな電話で、寮の中だと内線で電話ができてしまいます。(もちろんコード付きの至ってシンプルな電話機です)

4月1日の入社式が終わったあと、引率の総務の方に連れられて、寮に到着したのですが、到着すると自分の部屋の番号を教えられて、まずはその部屋に入る訳です。部屋のドアの前には、二人部屋ということで、二人の名前が貼り出されていまして、その時初めて自分の相部屋のパートナーの名前を知ることになります。部屋の中に入って、相部屋のパートナーと挨拶をして、ここから共同生活が始まりました。
部屋のイメージを見てもらって分かる通り、部屋には風呂もトイレも洗面所もありません。つまり、部屋の外に共通の大浴場、トイレ、洗面所があり、ちなみに私の入った寮には食堂もあり、そういった場所で、ほかの寮生に会うことができました。もちろん先輩や、後には後輩も同じ寮にいましたので、本当に不思議な共同生活空間だったのを覚えています。
寮と言っても、若かりし当時は、平日は殆ど寝るためだけに帰るようなもので、パートナーに会う時間はあまり無かったのですが、それでも同じ空間に他人がいるのはそれなりのストレスがありまして、気になる人は気になってしまいます。例えばテレビや音楽などの生活音やイビキ、ニオイ、当時はSNSやスマートフォンもなかったので、電話の声とかも気になりました。ですので、やっぱりパートナーと合わない人たちも何人かいる訳です。ひどいところは、部屋の真ん中にカーテンの仕切りを無理やりつけて、部屋(空間)を半分にしてみたり、挨拶もしないくらい仲が悪かったり、ケンカの声が聞こえたりもしました。幸い私は、四国から上京してきた気の合う同僚と相部屋になったため、それなりに快適な生活をさせてもらいました。
この寮ですが、規則では10年くらいまで入ることができたのですが、稀に延長してしまう人もいまして、そうなると年々寮費が上がっていく仕組みでした。それでも元の寮費が安いので、寮の主みたいになっている先輩もいましたし、やはりプライバシーを重視して、早々に退寮して一人暮らしを始める人もいました。でも家賃が寮費と比べればかなり高くなるので、若手の頃は苦しい生活を強いられていたんだと思います。そしてこの寮ですが、入社3年目になると、一人部屋に移れるというルールもありまして、最初の2年を我慢すれば、その先に快適が待っているということで、耐え忍んでいる人が多かったです。
今にして思えば、なかなかの経験だったなと思います。
もちろん寮には職場の先輩なんかもいる訳ですから、休日に部屋でお酒を飲んだり、キャンプやゴルフに行ったりもしましたし、寮の近くでお酒を飲んだりもしました。そんな共同生活のおかげで、社会のルールを(もちろん当時の社会のルールですが・・)たたき込んでもらった気がします。古き良き時代だったのでしょうか?今でも当時の寮の仲間とは、特に仲良くさせてもらっています。

くーま
くーま

なかなかできない経験でしたね。

おるきー
おるきー

あの頃だったからできてのかも知れません。

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